昨今、北朝鮮のナンバー2と言われていた張成沢氏粛清のニュースが、頻りと流れていますね。

ナンバー2粛清のニュースを聞くと、ついついナンバー2不要論を唱えていた「パウル・フォン・オーベルシュタイン」が脳裏に浮かんでしまいます。

彼は、私の若い頃に好きだった小説「銀河英雄伝説」のキャラクターの一人です。

興味のある方は、小説の他に漫画版もあるので、ご購入をご検討されては如何でしょうか。


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一方、現実世界でも、このナンバー2不要論のモチーフとなった粛清は古今東西の独裁者に共通し、同じようなパターンが繰り返されているように感じます。

興味が湧いてきたので、歴史上の独裁者粛清・失脚させられたナンバー2にどのような人物がいるか調べてみました。

以下、私の独断と偏見に基づき、幾つか挙げてみたいと思います。

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1.呉王夫差と伍子胥

呉王夫差は、臥薪嘗胆臥薪で有名です。

夫差は越を屈服させた後、越の謀略に嵌ったこともあるのですが、夫差や彼の父闔閭を呉王まで押し上げた伍子胥を粛清してしまいます。

まあ、その後の呉は、越により滅ぼされてしまいます。

夫差は伍子胥に合わせる顔が無いと、顔に布をかけて自害することになります。


2.越王勾践と范蠡、文種

越王勾践は、臥薪嘗胆嘗胆で有名です。

呉王によって屈服させられていた勾践は、范蠡と文種の補佐を受けて反撃して終には呉を滅ぼし、見事に悲願を達成します。

しかし、悲願達成後に有頂天になった勾践を見た范蠡は、身が危ういと感じて密かに越を脱出します。

そして、范蠡は文種へ手紙を送ります。

手紙には、「狡兎死して走狗烹られ、高鳥尽きて良弓蔵る」とあります。

つまり、狡賢い兎が死ねば猟犬は煮て食われてしまい高く飛ぶ鳥がいなくなれば良い弓は仕舞われてしまいます。

敵国が滅びた今、あなたは身が危ういので、直ぐに逃げなさいと警告しました。

でも、文種は結局のところ逃げ遅れ、謀反の嫌疑をかけられて自害へと追い詰められてしまいます。


3.始皇帝と呂不韋

呂不韋は、秦の始皇帝を趙国の人質から秦王まで押し上げます。

彼は、「奇貨、居くべし」の故事で有名です。

始皇帝は、嫪毐の乱に関与したとして、呂不韋を失脚させ、最後は書状を送って彼を自害に追い込みます。

始皇帝と呂不韋の関係は、一方を国のトップへ押し上げると共に自らは影の実力者であった他方が、権力を掌握した一方側から粛清されてしまうと言う点で、金正恩氏と張成沢氏の関係に若干似ているかなと思います。

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4.漢の高祖劉邦と韓信

韓信は、劉邦の漢建国に大功があった張良と蕭何と共に、三傑の一人と言われています。

韓信は野戦を指揮すれば、まさに国士無双でしたが、結局は劉邦の心胆を寒からしめてしまい、最後には謀反に追い詰められて粛清されてしまいます。

韓信は、斉王の時に遊説家の蒯通から独立を進言され「独立しなければ身が危ない」と説得されています。

その説得時には、范蠡から文種への手紙が引用されています。

でも、結局のところ韓信は劉邦への恩義から独立への決断ができず、最後は粛清されてしまいます。

一方、内政の功労者であった蕭何は難を逃れます。

彼の保身には、並々ならぬ配慮がありましたが、そのエピソードは史記に詳しく記載されています。


5.明の朱元璋と多くの功臣

朱元璋は、絶対権力を確立すると、功労者である劉基、胡惟庸、李善長、藍玉等を次々と粛正するばかりか、その一族を含めた万単位の人々まで被害を被ったと言われています。

朱元璋の後を継いだ献文帝は、有能な功臣が粛清され尽くされていたため、叔父の永楽帝に帝位を簒奪されてしまいます。

これは、ナンバー2となり得る有能な臣下を粛清し過ぎた弊害と言えますね。


6.その他の独裁者

毛沢東サダム・フセインも、粛清を道具に権力を絶対化したことは有名です。

彼らも独裁権を確立するために、言わばナンバー2となり得る有能な部下を、予め排除したと言えるのではないかと思います。

まとめてみると、結局は自分の好きな東洋史に偏ってしまいました。

ここで一句、
独裁の 完了後には 直ぐ逃げろ

では、また。