海外ドラマ、特にアメリカドラマには、これは面白いと素直に思える番組が結構多いです。
例えば、クライムシーンサスペンス系、アクション系、オカルト系などは、同じジャンルの日本ドラマを遥かに凌駕しています。
このアメリカドラマの鑑賞は、私達夫婦の共通の趣味でもあり、実は夫婦円満にも一役買っていたりもします。
ところで、私達夫婦がアメリカドラマを観る場合、最近では可能な限り字幕ではなく吹き替えで観ることにしています。
それには、3つの理由があります。
もし、あなたがアメリカドラマを観始めた、また新たに観始めようとするドラマがあるのなら、ぜひとも参考にして頂ければと思います。
第1の理由
第1の理由、それは、アメリカドラマでの日常会話の英語は“語彙が貧弱”だからです。
アメリカドラマは、背景社会の切り取り、ストーリー展開、映像技術、キャスト、ディテールの作り込みがとても素晴らしいものです。
日本の刑事ドラマなどと比較すると、その出来栄えや面白さは残念ながら雲泥の差です。
ですが、こんな面白いアメリカドラマを字幕で観ている場合、音声と字幕の語彙にズレがあるため違和感を覚える時があります。
なんというか、ドラマ内で使われている英語の語彙が結構貧弱であることに気が付きます。
例えば、自分自身を示す一人称“I”に対して、日本語なら、私、俺、僕、おいら、自分、と複数の選択肢があります。
同様に、二人称“YOU”に対して、あなた、君、お前、てめえ、貴様、お宅、そちらさん、と複数あります。
また、相手に同情などを表す場合には、英語であれば“sorry”だけです。
日本語なら、気の毒に、同情する、可愛そうに、お悔やみを、ご愁傷様、残念だよ、と複数の表現があります。
特に私が1番驚いたのは、死体を単に“body”と呼ぶことでした。
どんな状況で誰が発言してもです。
日本語であれば、状況や発言者によって、死体、死骸、亡骸、遺体、ご遺体、仏さん、が選ばれます。
もし、死体発見者が「うわ~、死骸だ!」と叫べば、その死体がある程度の時間が経過して腐敗や白骨化が進んだイメージが湧きます。
もしくは、“人間以外のものかも?”とも感じたりします。
一方、「うわ~、死体だ!」であれば、まだ生暖かく事件直後のようなイメージが湧きます。
また、年配刑事が死体を指す時に、「あの若い仏さんは、・・・」と言えば、その刑事が年季の入った有能なベテラン刑事だと想像できます。
まあ、何が言いたいかと言えば、アメリカドラマには語彙が豊富な日本語翻訳を当て嵌めた方が、“ドラマとしての完成度がさらに高まる”と言うことです。
じゃあ、翻訳が表示される字幕版を観ても良いのではとの“ツッコミ”が入りそうです。
しかし、字幕を読んで意味を理解する思考経路では、邪魔な英語音声と語彙のズレを調整する余計な過程が生じます。
であれば、この過程を省いた吹き替え版を観た方がすっきりするし、より楽しめるのです。
また、字幕に追われて画面全体を見渡せないこともあります。
さらには、私自身が年齢のためか飛蚊症が酷くなったこともあり、字幕を追うのが結構しんどい肉体的な理由もあったりします(^_^;)
なお、飛蚊症については、ある程度まとめていますので、興味があればリンク先を読んでみてください。
まあ、アメリカドラマを観ていると、その日常会話はずいぶんと簡略化されたものだなと感じます。
日本人の私から見れば、言葉は悪いですが、中坊どうしの会話レベルです。
でも、もしかしたら、アメリカでは互いに貧弱な語彙で会話しても、話し手や受け手の社会的地位、階級、人種、出身地域、世代などに基づいた適切な語彙に脳内変換しているのかもしれません。
すると、この知的レベルが異なる者どうしの会話では、相互認識のズレが結構大きくなりそうです。
ああ、だからあれ程に取扱説明書や契約書の内容が細かいのも納得です。
第2の理由
第2の理由、それは、アメリカドラマは“1シーズンが長丁場”だからです。
アメリカドラマは、パイロット版や特殊な例を除けば、1シーズンのフルオーダーで22~24話ほどがあります。
また、常に多くの人気ドラマの各シーズンが、取っ替え引っ替え放送されています。
そうすると、私達夫婦のようにアメリカドラマにドップリ嵌っている場合、1週間で6~7番組を観たい場合があったりします。
多くの方がそうしているように、私達夫婦もリアルタイムで観るのではなく、録り溜めたものを空いた時間や週末などにまとめて観るようにはしています。
しかし、字幕で観る場合には、ほぼすべての再生時間においてモニター前に張り付く必要があります。
その場合、他の作業ができませんので“時間が押す”こととなり、日常生活に支障がでてしまいます。
一方、吹き替えならば、モニター前に張り付く必要はないため、観ながら他の作業ができるのです。
我家の場合、妻は洗濯物を畳んだり炊事をしたりしながら観ています。
私はと言えば、ストレッチや運動(ステッパー)をしたり、他の書類など斜め読みしたりしながら観ています。
つまり、吹き替えで観る場合は、より多くのドラマを鑑賞できるし、ながら作業によって時間を節約できる、このような利点もあるのです。
第3の理由
第3の理由、それは、最近のアメリカドラマは“適切な声優を配役している”からです。
まあ、最近と言っても、ここ10年位だと思いますが、ドラマの登場人物のキャラに合った適切な声優を配役していると思います。
声優の能力や熱演によっては、実際の本人の声よりも良いと思えてしまうほどに素晴らしい場合も多々あります。
ここで、私がこれは秀逸だと思えるドラマのキャラと声優のコンビを幾つかピックアップしてご紹介します。
なお、表示形式としては、
(番号)ドラマ名
ドラマキャラ/声優(敬称略)
としています。
(1)CSI:マイアミ
ホレイショ・ケイン/石塚運昇
このコンビは私の中でNo.1です。
私の吹き替えに対する評価を一気に高める切っ掛けとなったコンビでもあります。
特に、ホレイショが悪人どもに言い放つ辛辣な言葉が石塚さんの声に絶妙にマッチしていて、その台詞回しにシビレタことが何度もありました。
そして、弱者に向ける眼差しと共に発せられる慈悲深い言葉、これにも胸がジーンと熱くなります。
蛇足ですが、石塚さんは私が若い頃に好きだったOVAアニメ“銀河英雄伝説”の悪役キャラであるヨブ・トリューニヒトの声優でした。
当時は、そのキャラ同様に声にまで嫌悪感を抱くほどでしたが、ホレイショ・ケインの熱演によって、その感情はまさに反転しました。
まったく、石塚さんの声優としてのレベルの高さには脱帽です。
“CSI:マイアミ”だけは、ぜひ吹き替えで観ることを勧めます。
(2)スーパーナチュラル
ディーン・ウィンチェスター/東地宏樹
このキャラは、一見するとお調子者に見えますが、内面には魔物達を退治すると誓った強い信念、弟や仲間達を思う慈愛の心、そして、家族や仲間を失った憂いや後悔を秘めています。
そして、そのキャラの葛藤や苦悩、若しくは喜びを、東地さんが渋めの声で見事に表現されています。
サム・ウィンチェスター/内田夕夜
ディーンの弟としてキャラ設定されています。
また、兄よりガタイが良くマッチョですが、実は兄よりも教養があり、内面には兄への尊敬と反発をない交ぜにした複雑で脆い感情を内包しています。
そんな、外見と内面とにズレがある複雑なキャラを、内田さんが上手く表現されています。
ところで、このドラマのシーズン1、2の声優は、上の二人とは異なり、ディーンがある“お笑い芸人”、サムが“若手俳優”でした。
この二人は声優として素人のためか、その出来はひどいものでした。
初めて聞いた時は、思わず「ハ~~!!」との声と共に固まってしまった程です。
余りのひどさに内容が頭に入ってこないため、シーズン1、2は字幕で観ることにしました。
シーズン3からは、東地さんと内田さんに声優が交代することになったのですが、始めから本職の声優を当てておけば、余計な苦労をしなかったものをと未だに思います。
(3)ホワイトカラー
ピーター・バーク/池田秀一
このキャラは、FBI知能犯専門チーム、別名、ホワイトカラー特別チームのリーダーと言う設定です。
そして、ピーターは優秀な捜査能力で主人公の天才詐欺師ニール・キャフリーを逮捕した後、その能力を惜しみ、取引して彼をパートナーとします。
その後、ニールと協力して幾つもの知能犯罪を解決に導きます。
捜査においてニールとは粋な掛け合いをし、時には知能犯のお株を奪うような罠を仕掛けたりする一方、真面目で愛妻家だったりします。
また、ニールをパートナーとして完全に信頼して良いものか苦悩する場面もあります。
堅実で優秀な捜査官、そして善良な愛妻家ですが、自身の直感を信じて行動する力強さもあります。
池田さんは、そんなピーターのキャラをほぼ完全に表現されています。
池田さんと言えば、“ガンダムシリーズ”のシャア・アズナブルの声優として超有名ですが、このピーター役もはまり役です。
最近、“ユニコーンガンダム”のOVAを観たのですが、シャア(フル・フロンタル)ではなくピーターが話しているような錯覚に陥ってしまいましたw
なお、このホワイトカラーはドラマとしてシーズン6まで有り、アメリカドラマに有りがちな尻すぼみ感もなく、見事なフィナーレを迎えています。
個人的には、ぜひ観て頂きたいドラマの1つです。
(4)エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY
シャーロック・ホームズ/三木眞一郎
このキャラは、現代のニューヨークに現れた元薬物依存患者の名探偵と言う設定です。
外見は、一見、禿げ始めたしょぼくれたオッサンですが、鋭い観察眼、類い希なる推理力、呆れるほどの記憶力を持っています。
そして、独自の“演繹的推理法”を披露する時、矢継ぎ早にせっかちな物言いをし、容赦なく辛辣な言葉の弾丸を浴びせ、そして、強引に相手をねじ伏せて納得させる論理展開をします。
このような特異なキャラですが、その全てを三木さんが絶妙に表現しています。
三木さんと言えば、アニメ“頭文字D”でボケた物言いをする藤原拓海の声も良かったですが、このシャーロックのような“せっかちな物言い”も実に印象深くて楽しめます。
(5)クリミナル・マインド FBI行動分析課
アーロン・ホッチナー/森田順平
Dr.スペンサー・リード/森久保祥太郎
ペネロープ・ガルシア/斉藤貴美子
このドラマについても、同様に私独自のキャラ解説と声優の評価も付け加えたいところです。
しかし、余りにも長くなりそうので、ここからはドラマキャラと声優のみの紹介とします。
申し訳ないです(^_^;)
(6)メンタリスト
パトリック・ジェーン/郷田ほづみ
(7)PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット
ハロルド・フィンチ/牛山茂
ジョン・リース/滝知史
(8)GRIMM/グリム
モンロー/松本大
ショーン・レナード/木下浩之
(9)THE BLACKLIST/ブラックリスト
レイモンド・”レッド”・レディントン/大塚芳忠
(10)CSI:ニューヨーク
マッケナ・”マック”・デュエリン・テイラー/中村秀利
(11)ARROW/アロー
オリバー・クイーン/日野聡
(12)ロイヤル・ペインズ ~セレブ専門救命医
エヴァン・R・ローソン/遊佐浩二
最後に
私達夫婦は、この3つの理由でアメリカドラマを吹き替えで観て楽しんでいます。
ただ、字幕版しかない場合、仕方ないので字幕版を観ます。
また、最初に字幕版を観たことにより、声を含めたキャライメージが定着してしまったドラマは、引き続き字幕版を観ています。
例えば、“BONES(ボーンズ)”、“キャッスル 〜ミステリー作家は事件がお好き”、“コールドケース 迷宮事件簿”などです。
これらのドラマについては、吹き替え版を試してはみたものの、違和感がありありで折角の面白い内容が頭に入ってこなかったために諦めました。
ただ、BONES(ボーンズ)については、人間骨格の固有名称や質量分析計で調べた物質名がガンガン出てきますので、文字で確かめられる字幕版の方が良かったりします。
まあ、これは例外的なものですけど。
ところで、多くのアメリカドラマは吹き替えで観る一方、洋画(地上波除く)は字幕でしか観ないことに気が付きました。
おそらく、洋画を観る場合は限られた時間であること、映画館で観るなら非日常の出来事であること、などの理由で字幕でも集中し十分に楽しめるからです。
そして、何よりも洋画に頻繁に出演する有名俳優の声が既に脳内に定着しており、吹き替えだと違和感ありありになってしまう、これが1番大きな理由です。
つまり、声を含めたキャライメージが定着してしまうと、ドラマや映画に関わらず字幕と吹き替えのスイッチが困難になります。
ですので、アメリカドラマには、より楽しめる“吹き替え”から観始めることをお勧めする次第です。
ここで一句、
アメドラは 吹き替え観るが より楽し
では、また。
当ブログ管理者の志龍です。
この記事については、賛否両論のコメントが寄せられています。
どちらかと言うと、否の方が多いようですが・・・
ただ、その中には白熱した議論を呼びそうなものも幾つかありました。
このコメント欄での“白熱した議論はなじまない”との私の考えもあり、この記事に限りですが、頂いた全てのコメントの掲載を見送っています。
この方針は、当面変えるつもりはありません。
その一方、コメント自体は今後も承っていきます。
コメントは、この記事を読んで頂いた方の貴重なご意見であり、勝手ながら今後の記事作成に生かしたいと思うからです。
この記事についてコメントを頂ける場合、以上の点をご理解頂きたく、宜しくお願いします。